第1章 総則
(この規則の趣旨)
第1条 民事訴訟手続に関する条約及び民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約の実施のための裁判所の手続に関しては、民事訴訟手続に関する条約等の実施に伴う民事訴訟手続の特例等に関する法律(昭和四十五年法律第百十五号。以下「法」という。)に定めるもののほか、この規則の定めるところによる。
第2章 民事訴訟手続に関する条約の実施
(送達すべき文書の翻訳文)
第2条
1 民事訴訟手続に関する条約(以下「民訴条約」という。)の締約国である外国の当局に対し、同条約第三条第二項に規定する方法による文書の送達を嘱託するときは、送達すべき文書に同項に規定する言語のいずれか一方によつて作成された翻訳文を添附するものとする。
2 民訴条約の締約国に駐在する日本国の大使、公使又は領事に対し、文書の送達を嘱託する場合において必要があるときは、送達すべき文書に送達すべき地における公用語又は送達を受けるべき者が解する言語によつて作成された翻訳文を添附するものとする。
3 当事者が作成し、又は提出した文書に添附すべき翻訳文は、その当事者が提出しなければならない。
(裁判外の文書の送達嘱託の申請)
第3条
1 民訴条約第一条第一項の文書で裁判外のものを同条約の締約国である外国において送達することを求める者は、次に掲げる事項を記載した申請書を管轄裁判所に提出しなければならない。
一 送達すべき文書の種類
二 当事者の氏名及び資格
三 送達を受けるべき者の氏名及び住所
四 申請者の氏名及び住所
五 年月日
六 裁判所の表示
2 前項第一号から第三号までに掲げる事項については、送達すべき地における公用語による記載をもしなければならない。
(裁判外の文書の送達)
第3条の2 法第六条第一項の送達及び外国の当局の嘱託により本邦においてする裁判外の文書の送達に関しては、民事訴訟規則(平成八年最高裁判所規則第五号)第一編第五章第三節の規定を準用する。
(民訴条約第二条に規定する方法による文書の送達)
第4条
1 民訴条約第二条に規定する方法により文書の送達をすべきときは、裁判所書記官は、送達を受けるべき者に対し、送達すべき文書を表示してその受領を催告しなければならない。
2 前項の規定による催告を受けた者は、出頭して文書を受領すること又は文書の送付を申し出ることができる。
3 前項の規定による申出を受けたときは、裁判所書記官は、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)及び民事訴訟規則に定める郵便による送達の例により、文書を送付する。
4 第一項の規定による催告を発した日から三週間以内に、送達を受けるべき者が出頭せず、又は第二項の規定による申出をしないときは、裁判所書記官は、文書の受領が拒絶されたものとして取り扱うことができる。
(司法共助の嘱託書及び添附書類の翻訳)
第5条
1 民訴条約第八条の当局に対する嘱託書及びその添附書類には、同条約第十条に規定する言語のいずれか一方によつて作成された翻訳文を添附するものとする。
2 第二条第二項の規定は、民訴条約の締約国に駐在する日本国の大使、公使又は領事に対する嘱託書の添附書類について準用する。
3 第二条第三項の規定は、前二項の場合について準用する。
(受託裁判所のした処分に対する不服申立て)
第5条の2 外国の当局の嘱託により証拠調べその他の裁判上の行為をするに際し本邦の裁判所がした裁判については、当該裁判所を受訴裁判所とみなして不服申立てに関する民事訴訟規則の規定を適用する。
(法第十一条の申立て)
第6条
1 法第十一条に規定する申立ては、書面によつてしなければならない。
2 申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 執行認許の請求をすべき訴訟費用の負担を定める裁判(その裁判において訴訟費用の額を定めていないときは、その裁判のほか訴訟費用の額を定める裁判(訴訟費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分を含む。))の表示
二 執行認許の請求をすべき相手国の表示
三 訴訟費用債務者が民訴条約第十八条第一項に規定する免除を受けたこと及びその要件となる事実
四 訴訟費用債務者の氏名及び住所
五 執行認許の請求について裁判をする権限を有する当局の管轄を定める原因である事実
六 申立人の氏名及び住所
七 年月日
八 裁判所の表示
3 前項第一号、第二号、第四号及び第五号に掲げる事項については、執行認許の請求をすべき相手国の公用語による記載をもしなければならない。
4 第二項の申立書には、同項第一号の裁判の謄本、裁判所書記官がその確定を証明する書類及び法第二十二条の規定により当局の権限を証明する書類並びにこれらの書類について民訴条約第十九条第二項3に規定する言語のいずれか一方によつて作成された翻訳文を添附しなければならない。
5 民訴条約第十八条第一項に規定する免除の要件となる事実について、証拠書類があるときは、その写しを申立書に添附しなければならない。
(当局の権限証明の申請)
第7条 法第二十二条の規定による当局の権限の証明を求める者は、法第十一条に規定する第一審の受訴裁判所を経由してその申請をしなければならない。
(費用額確定請求書等の送付)
第8条
1 法第十一条の申立てに基づき執行認許の請求を外務大臣に嘱託する場合において、申立人が民訴条約第十九条第四項の規定により費用額を定めるべき旨の請求書及び証拠書類を提出しているときは、裁判所は、これらの書類を外務大臣に送付する。
2 前項の請求書は、執行認許の請求をすべき相手国の公用語又は相手国との間の取極により定められた言語で作成しなければならない。
3 第一項の証拠書類が前項に規定する言語で作成されていないときは、同項に規定する言語のいずれか一方によつて作成された翻訳文を添附しなければならない。
(費用計算書等の提出)
第9条
1 民訴条約第十九条第四項の規定により本邦の裁判所に対し費用額を定めるべき旨の請求をするときは、費用計算書及び費用額に関する証拠書類を提出しなければならない。
2 前項の書類が外国語で作成されているときは、日本語又は関係国間の取極により定められた言語によつて作成された翻訳文を添附しなければならない。
(救助請求書の用語等)
第10条 法第二十三条第一項の規定により提出する請求書及びその関係書類は、民訴条約第十条に規定する言語のいずれかで作成し、又は同条に規定する言語のいずれか一方によつて作成された翻訳文を添附して作成しなければならない。
第3章 民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約の実施
(送達すべき文書の翻訳文)
第11条
1 民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約(以下「送達条約」という。)の締約国である外国の当局に対し、同条約第五条第一項に規定する方法による文書の送達を嘱託した場合において、送達すべき文書の翻訳を求められたときは、同条第三項に規定する言語又は当該外国との間の取極により定められた言語によつて作成された翻訳文を送付するものとする。
2 第二条第二項の規定は、送達条約の締約国に駐在する日本国の大使、公使又は領事に対して文書の送達を嘱託する場合について準用する。
3 第二条第三項の規定は、前二項の場合について準用する。
(裁判外の文書の送達嘱託の申請)
第12条
1 送達条約第十七条の裁判外の文書を同条約の締約国である外国において送達することを求める者は、第三条第一項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した申請書を管轄裁判所に提出しなければならない。
一 送達について利害関係を有する者があるときは、その氏名及び住所
二 送達すべき文書に期間又は期限の定めの記載があるときは、その内容
2 第三条第一項第一号から第三号まで及び前項各号に掲げる事項については、送達条約第七条第二項に規定する言語のいずれかによる記載をもしなければならない。
(裁判外の文書の送達)
第12条の2 第三条の二の規定は、送達条約第十七条の裁判外の文書の送達について準用する。
(送達条約第五条第二項に規定する方法による文書の送達)
第13条 送達条約第五条第二項に規定する方法により文書の送達をすべきときは、第四条の規定を準用する。
附則(抄)
1 この規則は、この規則の施行前に生じた事項についても適用する。ただし、この規則の施行前に生じた効力を妨げない。
附則(平成8年12月17日・最高裁判所規則第6号)(抄)
(施行期日)
第1条 この規則は、民事訴訟法(平成八年法律第百九号。以下「新法」という。)の施行の日から施行する。
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