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■ 民事訴訟手続に関する条約等の実施に伴う民事訴訟手続の特例等に関する法律
(昭和45年6月5日−法律第115号)>
− 目 次 −
第1章 総則(第1条)
第2章 民事訴訟手続に関する条約の実施
第1節 通則(第2条−第5条)
第2節 文書の送達(第6条−第7条)
第3節 司法共助の嘱託(第8条−第9条)
第4節 訴訟費用の担保の免除等(第10条−第22条)
第5節 訴訟上の救助(第23条)
第3章 民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約の実施(第24条−第29条)
第4章 雑則(第30条−第31条)
附 則 

第1章 総則

(目的)
第1条 この法律は、民事訴訟手続に関する条約及び民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約の実施に伴い、民事訴訟手続に関する特例等を定めることを目的とする。

第2章 民事訴訟手続に関する条約の実施

第1節 通則
(当局の指定)
第2条 民事訴訟手続に関する条約(以下「民訴条約」という。)第一条第一項、第九条第一項及び第二十三条第一項の当局は、外務大臣とする。

(送達及び司法共助の管轄等)
第3条
1 民訴条約に定める文書の送達及び証拠調べその他の裁判上の行為について、同条約の締約国である外国(以下この章において「外国」という。)の当局の嘱託があつたときは、裁判所は、これについて法律上の補助をするものとする。
2 法律上の補助をする裁判所は、所要の事務を取り扱うべき地を管轄する地方裁判所とする。

(管轄裁判所への移送)
第4条 受託事項が他の裁判所の管轄に属するときは、受託裁判所は、嘱託を管轄裁判所に移送する。

(受託事項の実施)
第5条 受託事項は、民訴条約に特別の定めがある場合には同条約によるほか、日本国の法律により行なう。

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第2節 文書の送達
(裁判外の文書の送達)
第6条
1 民訴条約第一条第一項の文書で裁判外のものの外国における送達に関する事項は、送達を求める者が普通裁判籍を有する地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
2 前項の送達及び外国の当局の嘱託により本邦においてする裁判外の文書の送達に関しては、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第一編第五章第三節の規定を準用する。

(送達証明)
第7条
1 送達について法律上の補助をした地方裁判所は、送達の事実、方法及び日付を確認した証明書又は送達ができなかつた事由を記載した証明書を作成し、外務大臣に送付しなければならない。
2 前項の証明書の作成事務は、裁判所書記官が取り扱う。

第3節 司法共助の嘱託
(期日の通知)
第8条 民訴条約第十一条第二項の規定による通知をしたときは、当事者に対する期日の呼出しは、要しない。

(受託裁判所のした処分に対する不服申立て)
第9条 外国の当局の嘱託により証拠調べその他の裁判上の行為をするに際し本邦の裁判所がした裁判については、当該裁判所を受訴裁判所とみなして不服申立てに関する民事訴訟法の規定を適用する。

第4節 訴訟費用の担保の免除等

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(訴訟費用の担保の免除)
第10条 民訴条約の締約国に住所、事務所又は営業所を有する締約国の国民である原告は、本邦に住所、事務所及び営業所を有しないときでも、民事訴訟法第七十五条第一項に規定する訴訟費用の担保を供することを要しない。ただし、その者が国籍を有する締約国が民訴条約第三十二条第一項の留保をしているときは、この限りでない。

(執行認許の請求の嘱託)
第11条 民訴条約第十八条第一項又は第二項の裁判で本邦の裁判所がしたものについては、第一審の受訴裁判所は、訴訟費用債権者の申立てにより、執行認許の請求をすべき旨を外務大臣に嘱託するものとする。

(訴訟費用の負担を命ずる外国裁判の執行)
第12条
1 民訴条約第十八条第一項又は第二項の裁判で外国裁判所がしたものによる強制執行は、本邦の裁判所が執行認許をしたときに限り、行なうことができる。
2 執行認許の事件は、訴訟費用債務者が普通裁判籍を有する地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。その普通裁判籍がないときは、民事訴訟法第五条第四号の規定により訴訟費用債務者に対する訴えを管轄する地方裁判所の管轄に属する。

(執行認許の請求の送付)
第13条 民訴条約第十八条第一項又は第二項の規定により執行認許の請求がされた場合には、外務大臣は、これを裁判所に送付しなければならない。

(執行認許についての裁判)
第14条 裁判所は、前条の規定による送付を受けたときは職権で、民訴条約第十八条第三項の取極があるときは申立てにより、同条約第十九条第二項1、2及び3に掲げる事項について審理し、執行認許又は執行不認許の決定をしなければならない。

(裁判の告知)
第15条 前条の規定により裁判所が職権で開始した事件の決定は、検察官及び訴訟費用債務者に告知することによつて、効力を生ずる。

(即時抗告)
第16条
1 申立人及び訴訟費用債務者は、執行認許又は執行不認許の決定に対して即時抗告をすることができる。前条の規定により執行不認許の決定の告知を受けた検察官も、同様とする。
2 前項の即時抗告の期間は、二週間とする。

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(執行認許の決定の効力)
第17条 確定した執行認許の決定は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。

(決定正本の送付)
第18条 裁判所は、職権で開始した事件の決定が確定したときは、その決定の正本を外務大臣に送付しなければならない。

(裁判費用の国庫負担)
第19条 職権で開始した執行認許の手続(その抗告審における手続を含む。)に要する裁判費用は、国庫の負担とする。

(証明、翻訳及び認証の費用額の確定)
第20条 民訴条約第十九条第四項の規定により費用額を定めるべき旨の請求があつたときは、裁判所は、執行認許の決定においてその額を定める。

(非訟事件手続法の準用)
第21条 第十一条の申立て及び執行認許の手続に関しては、民訴条約又はこの法律に特別の定めがある場合を除き、非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第一編の規定を準用する。

(当局の権限証明)
第22条 民訴条約第十九条第三項の当局の権限は、最高裁判所が証明する。

第5節 訴訟上の救助
(外国における訴訟上の救助)
第23条
1 民訴条約第二十三条の規定により外国において訴訟上の救助を請求する者は、その者が普通裁判籍を有する地を管轄する地方裁判所にその請求を提出しなければならない。
2 前項の請求に関する事務は、裁判所書記官が取り扱う。

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第3章 民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約の実施

(当局の指定)
第24条 民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約(以下「送達条約」という。)第二条第一項の中央当局及び同条約第九条第一項の当局は、外務大臣とする。

(送達の管轄等)
第25条
1 送達条約に定める文書の送達について、同条約の締約国である外国(以下この章において「外国」という。)の当局又は裁判所附属吏の嘱託があつたときは、裁判所は、これについて法律上の補助をするものとする。
2 第三条第二項及び第四条の規定は、前項の場合について準用する。

(送達の実施)
第26条 前条第一項の嘱託に係る文書の送達は、送達条約に特別の定めがある場合には同条約によるほか、日本国の法律により行なう。

(送達証明)
第27条
1 送達について法律上の補助をした地方裁判所は、送達条約第六条の証明書を作成しなければならない。
2 第七条第二項の規定は、前項の証明書の作成について準用する。

(公示送達)
第28条 外国においてすべき送達条約第十五条第一項の文書の送達については、同条第二項(a)、(b)及び(c)に掲げる要件が満たされたときに限り、民事訴訟法第百十条の規定により公示送達をすることができる。

(裁判外の文書の送達)
第29条 第六条の規定は、送達条約第十七条の裁判外の文書の送達について準用する。

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第4章 雑則

(費用の予納)
第30条 民訴条約及び送達条約並びにこの法律に定める事項の実施のため費用を要するときは、裁判所は、当事者にその費用を予納させることができる。

(最高裁判所規則)
第31条 この法律に定めるもののほか、民訴条約及び送達条約並びにこの法律に定める裁判所の手続に関して必要な事項は、最高裁判所が定める。

 附 則 
(施行期日)
1 この法律は、民訴条約及び送達条約が日本国について効力を生ずる日(民訴条約―昭和四五・七・二六、送達条約―昭和四五・七・二七)から施行する。
(経過措置)
2 この法律は、この法律の施行前に生じた事項についても適用する。ただし、この法律の施行前に生じた効力を妨げない。


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